前田研究室

大阪大学
大学院情報科学研究科 バイオ情報工学専攻

Vision

研究領域の概要

我々は身の回りの世界から情報を手に入れる際に,視覚や聴覚のような感覚というプロセスを利用しています. また,身の回りの世界に働きかけるためには筋肉などを用いた運動というプロセスを利用しています. すなわち人間は,感覚がインプット,運動がアウトプットである情報的なブラックボックスとして定義でき,定量的に解析することが可能になります. 本講座では,このブラックボックスを解析することによって,人間の感覚-運動メカニズムを解明し, このメカニズムを利用したシステムを開発しています.


錯覚を利用した行動誘導インタフェース

本講座では人間の行動を支援するインタフェースの研究をしています.人間の行動を誘導するための端的な手段としては,外力によって行動の変更を強制する方法があります.しかしこの方法では対象者自身が意図していた状態と実際の新しい状態との間に食い違いが生じ,行動を強制された違和感が知覚されることになってしまいます.錯覚を利用したインタフェースの利点はここにあります.錯覚とは「実際とは異なる知覚を得てしまう現象」ですが,幻覚や知覚異常とは異なり,誰にでも起こる正常な脳の働きの結果です.錯覚を利用した行動誘導方法であれば,初期状態から知覚が推移したことによって新しい知覚にあわせて対象者自身が自発的に行動を変更します.このため,先述のような食い違いが生じず,自然な行動の誘導が実現できます.「自分の意志には反さないが,気がついたら身体が動いていた」というインタフェースです.

感覚を伝送・共有するインタフェース

離れたところにいる人間が見ているもの,聞いているもの,触っているもの,また体の姿勢を,我々が再現し体験することは可能でしょうか. これができれば,言葉だけではうまく伝えられない気持ちを相手に伝えたり,熟練者の作業を容易く真似したりすることもできるようになります. 本講座では,このような感覚の伝送・共有や,これを応用したスキル伝達の研究も行なっています.